Industrial Light & Magic 上杉裕世氏 CEDEC 2012最終日(2012年8月22日),アメリカのIndustrial Light & Magic(※)所属のマットアーティスト?上杉裕世氏による基調講演「デジタル製作環境におけるアナログマインド」が行われた。上杉氏はこれまで数多くのハリウッド映画に携わっており,「インディ?ジョーンズ」「スター?ウォーズ」といった往年の名作,また最近では「アバター」「アベンジャーズ」などの作品も手がけている。現在も第一線で活躍を続けているクリエイターだ。 ※Industrial Light & Magic:映画監督のジョージ,ドラゴンクエスト10 RMT?ルーカス氏が「スター?ウォーズ」の特殊効果を制作するために設立したスタジオ。通称「ILM」。Lucasfilmの作品に限らず,数々のハリウッド映画において特殊効果を手がけている トップクラスの特殊効果を製作しているILMのようなスタジオであれば,その製作環境では最先端のデジタル技術が駆使されていることは想像に難くないだろう。 しかし,そのILMで20年以上にわたって活躍している上杉氏は,自身の最大の強みは「アナログマインド」にこそあるのだ,と今回の基調講演を通して主張した。 エンターテイメント業界の第一線で活かされている「アナログマインド」。その意味するところは何か,またそのルーツにあるものは一体何なのか。また,同じデジタル製作環境の最前線の一つといえるコンピュータエンターテイメント業界において,上杉氏の知見はどのようなヒントをもたらしてくれるのだろうか,ドラクエ10 RMT? 実際の講演の内容に沿って,詳しくレポートしていきたい。 なお,権利関係の問題から,会場のスクリーンで披露された画像や映像についてはすべて撮影禁止となっていた。その点はご了承を。 講演の司会進行として,CEDEC運営委員会の委員長,バンダイナムコゲームスの斎藤直宏氏(写真左)も登壇した 古くからハリウッド映画の壮大な映像を支えていたマットペインティングの技術 まず,普段あまり耳にすることがない「マットペインティング」について説明しよう。 マットペインティングとは,手描きの緻密なイラストと実写映像を合成して,セットやCGだけでは困難な映像表現を行う特撮技術のことだ。 上杉氏がその具体例として紹介したのは,1983年公開の「スター?ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」(※)における,反乱軍の格納庫のシーンだ
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