。 「いいか、サカキ。いないものの相手をするのはよせ。ヤバいんだよ、それ」 その語り口はイジメによる無視などというものではなく,もっと恐ろしい何かを警戒しているようであった。そして,恒一がようやく学校にも馴染み始めたところで,クラスメイトの一人が階段で足を滑らせて転落し,倒れた拍子に自分が持っていた傘で喉を突いて死亡するという事件が起こる。 日常を揺るがす陰惨な事件。だが,これはこのあと連続して起こる惨劇の幕開けに過ぎなかった……。 ●生き残るためのルールを見つけ出せ 主人公の恒一が転入することになった夜見山北中学の三年三組は,26年前に起こったとある事件を発端に,「呪われている」とか,「死に近い」とか,いろいろな噂が飛び交うようになった危険なクラス。そんな三年三組で,一人の生徒の死をきっかけに,次々と生徒やその家族が死んでいく。躊躇なく登場人物を殺していく手腕は,さすがミステリー作家といったところ。 だが,ここまでだったら呪いを題材にした,よくあるホラーでしかない。本書の特徴は,その呪いが「厳密なルール」によって構成されている点だ。連続して起こる生徒の死。その原因は,クラスの中に本来いるはずがない〈死者〉が紛れ込んでいるからだという。では,その死者は一体誰なのか。 最初は原因不明だった生徒達が死んでいく“現象”に,ムートンブーツugg,論理だった考察が加えられ,さまざまな法則が見つかっていく過程が面白い。呪いというオカルトな現象を扱いながら,あくまでロジックを組み立てることでそれを解決していこうとする展開は実に魅力的だ。 また,次々と目の前に現れる謎も本作の大きな読みどころの一つである。見崎鳴は一体何者なのか? 26年前に起こった事件との関連性は? どうすればこの死の連鎖を止められるのか? 一つの謎が解けるたびに新たな謎が登場し,読者の興味を引っ張り続けるため,読むのを止めるタイミングを見つけるのが難しい。上下巻合わせて700ページを超えているので,次の日に学校や会社を控えている人は気をつけるべし。 ●いとうのいぢのイラストの破壊力に戦慄せよ そして,今回のスニーカー文庫版『Another』を手に取って気づかされたのは,イラストの偉大さ,そして破壊力である。もちろん,イラストがあろうがなかろうが,作品の内容には何の変わりもない。伏線の巧妙さや,設定の完成度の高さなど,ブーツ,今回再読したことでいろいろと気づかされたことも多い。だが,それ以上に本作を読んだ私の心に強く残ったのは,「鳴ちゃん超かわいい」という単純な感想である
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