2013年2月25日月曜日

連載「ゲーマーのための読書案内」第59回:『ペルセポリス』_2

。  そして,その「すべてではない」部分の現実が,ugg ブーツ,日常の切れ目から垣間見えてくるときの底知れない恐怖と,その恐怖をどことなく他人事としてしか捉えられないことの恐ろしさを,本作はさらりと描ききる。  あるいはこの「他人事感覚」が,現代における戦争の一つの真実なのかもしれない。  まあ,そういったキワモノ寄りの論点はさておき,本作はまったく別の視点からも興味深い物語として読める。  国内の専制化と戦況の悪化に伴い,マルジは両親の意向でヨーロッパに留学する。いってみれば超高級な疎開である。親は空港で卒倒するほど悲しみに暮れ,彼女の前途に不安を抱く。  そしてあろうことか,その不安は見事に適中する! 祖国では「ロックが好き」な程度に社会に対する反抗心を発揮していた彼女は,単身その本場に立ち,さまざまなしがらみ(あるいはつながり)から切り離されていくなかで,酒やタバコ,そして麻薬をおぼえ,最終的には学内での麻薬の密売にまで手を染める。……消費者側から供給者側にレベルアップである。  学部は強い問題意識を抱き,また彼女自身も身の危険を感じたようで,すぐに商売をたたんでしまうものの,Diablo 3 Gold,これはさすがに「ロックが好き」レベルの話ではない。  本作は半自叙伝なので,いわばまだ続いている物語なのだが,日本語版最新刊の2巻までを見る限り,主人公は親や祖母の望んだような人物に成長したとは言い難いと思う。なにしろ,あまりの素行不良がたたって,一度親が本国に呼び戻しているくらいだ。娘にとって,疎開元より疎開先のほうが危険とは,これいかに?  とはいえ,一方でそれはそんなものだろう,とも思う。若くて好奇心に溢れ,漠然とした夢と希望,そしてちょっとした絶望がないまぜになった人物が,田舎から大都会に独りで出てくれば,そこで起こることはおおむねこんなものだ。さすがに麻薬はどうかと思うが,麻薬の日本における社会イメージとヨーロッパにおける社会イメージが,大きく異なっていることについては,オランダの例を出すまでもあるまい。  消費できる自由を得た子供は,親がいかなる使命や訓戒を与えたところで,まずはその自由を満喫する。それが普通の反応である。「プリンセスメーカー」シリーズのように,武者修行に出された娘が一心不乱に修行を貫徹して帰ってくるというのは,さすがにゲームならではの光景だろう。  あるいはプレイステーション2のRPG「ファイナルファンタジーX-2」について,いろいろな議論が可能だとは思うものの「そもそも年頃の女の子が,いなくなった男を3年も待っているものだろうか
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